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様々な種類のオフサイド

オフサイドという言葉については初級編の最低限知っておく必要のある3つのルールで少し触れました。

この時はボールを基準に互いの領地を考え、「オフサイド=敵領地での行動」「オフサイドルールは待ち伏せ禁止ルール」という説明をしました。

オフサイドの概念自体はその説明と同じで「相手側の陣地(自分たちの陣地の外)でプレーしてはいけませんよ」というものですが、実際の試合では状況においてオフサイドの基準が変わってきます。

ここでは状況ごとに基準がどう変わるのかについてお話しします。

ラック周りのオフサイド「オフ・ザ・ゲート」

タックルで選手が倒されると攻守の選手がボールを守る・奪うために集まり、(ジャッカルがなければ)互いの選手が押し合いをする形になり「ラック」が成立します。相手の選手を押し切った側がボールを確保できるというものです。

このラックに関するところにもオフサイドのルールがあります。

このラック周りのオフサイドは別の名前がついており「オフ・ザ・ゲート」と呼ばれます。2019年W杯のテレビのテロップでは専門用語を使わず「密集でのオフサイド」という表記になっています。

ラグビー経験者は「ゲート」と省略して呼ぶことが多いので解説者が「あー、ゲートのとこですねー」なんて言い方をすることがあるので注意が必要です。

さて、まずこの「オフ・ザ・ゲート」という言葉の意味ですが、英語で「Off the Gate」、すなわち門の外という意味になります。門(ゲート)を通らなかった、ということですね。

このゲートというのはタックルで選手が倒された時に仮想敵に、頭の中で設置されるものです。

詳しく見ていきましょう。

まず、タックルが発生し、互いの選手が倒れたとします。Aがタックラーです。

この時、タッチライン&ゴールラインとそれぞれ平行になるような線で両選手を囲みます。

この四角形の互いの陣地側の辺、これが「ゲート」になります。

こうしてゲートができ、「オフ・ザ・ゲート」の反則とならないためには、どちらのチームも自分のチーム側のゲートを通ってボールの奪い合いに参加しなければなりません。

なぜこのようなルールとなっているのでしょうか。

オフサイドの基準となっている線をオフサイドラインと言いますが、これは初級編でお話しした国境線に相当します。

基本的にオフサイドラインはボールの位置が基準となりますが、密集ができた場合はボールを基準にオフサイドラインを設定しようとしても密集の中のどの位置にボールがあるのかがわかりません。

このため、密集ができた場合は密集全体を大きなボールとみなし、それぞれのチーム側の端=ゲートのラインをオフサイドラインとして設定します。

そしてボールが幅を持ってしまったためにできる横の領域はどちらの領地でもない「緩衝地帯」となり、この土地を通ってプレーすることを禁止としました。

「オフ・ザ・ゲート」がテレビで「密集でのオフサイド」という表記となるのはこのためです。

"自分たちの土地でない場所を使って行動(プレー)する"というのはオフサイドの概念と一致します。

モールのオフサイド

モールとはタックルで衝突があった後、倒れないまま1人以上のプレイヤーが押し合いに参加した3人以上での立ったままの押し合いです。

このモールにもオフサイドがあります。

とはいえこれは非常に簡単で、上のラックでのオフサイドと全く同じです。モール自体が1つの密集なので全体を1つのボールとみなし、最後尾を基準にオフサイドラインが設定されます。

これにより、ラックと同じく「モールも押し合いに参加する人は自分たち側の最後尾から入ること。横から入ったら緩衝地帯を通っているのでオフサイド」となります。

モールでのオフサイドはラックのものと全く同じ考え方によるものですが、呼び方は「モールでのオフサイド」となり、オフ・ザ・ゲートとは呼ばれないことだけ注意してください。

ラインオフサイド

ラインオフサイドは一般的なオフサイドのことです。

「ディフェンスの選手がオフサイドライン(=国境)より前にいたのにプレーに参加した」というものですね。初級編でお話ししたオフサイドもこのラインオフサイドのことです。

ここでは初級編の話に少しだけ補足をします。

ラインオフサイドで基準となるオフサイドラインですが、初級編ではボールの位置としたものの、実際にディフェンスの選手が並ぶ場所はラックの中心を通る線ではなくラックの自分たち側の端に合わせた線となります。

これは上でお話ししたラック周りのオフサイドラインの設定がそのままフィールド全体に適用されるためです。

キックオフサイド

キックオフサイドは「キックでボールを前方に飛ばした時にプレーに関与できるのはキッカー自身とキッカーよりも後ろにいた選手だけ」というルールです。

これも概念としてはオフサイドと同じで、通常のラインオフサイドは密集ができた時にオフサイドラインが設定されるのに対してキックオフサイドはキックを蹴った瞬間にキッカーのいる位置をオフサイドラインの基準とする、というだけのことです。

「オフサイドは待ち伏せ禁止ルール」の考え方をすると非常にわかりやすいのですが、もしこのルールがなければキックを蹴る際に味方の選手はどこにいてもいいということになります。

そうなるとラグビーは「相手のゴールライン周辺に味方を配置しておいて、マイボールになったらその選手めがけて蹴り込む」戦術が最強のゲームとなってしまいます。

これを禁止するため、キックを蹴った時にキッカーを基準にオフサイドラインを設定することで蹴った地点より前を敵の領地とし、そのエリアでの行動ができないようにしました。

しかし、このルールだけだとキックを蹴った際にキッカーよりも前にいた選手が全員オフサイドラインよりも後ろに下がってから前に行かなくてはならなくなり、キックを蹴る時のデメリットが大きすぎます。

このため、キックオフサイドのオフサイドラインには「オンサイドのプレイヤー(オフサイドラインよりも後ろ、自分の陣地にいる人)が前進すれば、その選手の位置をオフサイドラインとみなす」というルールがあります。

どういうことかというと、キッカー自身、もしくはキッカーよりも後ろにいたプレイヤーが前進することで国境線も一緒に前進し、追い越された選手はプレーできる状態になる(オフサイド解消)ということです。

このルールがあるので、キックを蹴った際には必ず選手が1人前方へ走り出します。この選手をキックチェイス(追跡)と呼び、味方のオフサイドの解消し落下点の相手へプレッシャーをかける役割を担います。基本的に足の速い選手が担当します。

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