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スクラムの基本と組み直しの基準

初級編のラグビーにおける3つの「密集」でお話した通り、スクラムとは反則があった後の試合再開の方法です。

今回は「スクラムってどう組んでるの?というかそもそも組んだ時に何をやっているの?」という疑問にお答えしようと思います。

スクラムの組み方

スクラムは上の画像のような組み方をし、1〜3番が第1列、4、5番の両ロックが第2列、6〜8番が第3列となります。

第1列は3人で肩を組み、姿勢を落として背中を地面と平行にします。

第2列はロックの2人で肩を組み、2人がそれぞれ第一列の1番と2番、2番と3番の腰の間に頭を入れ、肩で第1列のお尻を押します。第1列が第2列の肩に座るようなイメージです。

第3列の3人はチームによって押したり押さなかったりします。

ディフェンス時に両端のフランカー(6、7番)はスクラムサイドを攻撃された時のタックル役、ナンバーエイトはディフェンスライン裏のカバー役に、アタック時はフランカーが味方のフォロー役、ナンバーエイトはスクラムから出たボールを自分で持って走る役になるからです。

しかしチームによっては一緒に押すことでスクラムのパワーを上げることを重視していたり、相手に押し負けて反則になりそうなときは押さざるを得ないなど、チームの方針や状況によってここは流動的です。

スクラムって何をやっているの?

スクラムは反則の後の再開方法であり、バスケットボールのジャンプボールをパワー勝負バージョンにしたようなものです。つまりはボールの奪い合いをしています。

組み合った状態で真ん中にマイボール側のスクラムハーフがボールを入れ、押し合いをする中でボールを自分たち側の最後部に持っていくことができればボール確保です。

ボールを最後部に持っていくということですが、中心のボールが最後部の位置になるように何メートルもスクラムを押し込む必要はありません。

スクラムで押し合いをしている中でも主に背番号2の「フッカー」と呼ばれるポジションの選手が足を使ってボールを後ろに送ります。

初級編のラグビーにおける3つの「密集」でもお話しましたがスクラムはミスに近い比較的軽い反則の後の再開方法です。

反則の後なので(バスケットボールのジャンプボールとは違い)反則をされた側が自分たちのタイミングでボールを入れることができる、という制限はつきますが、「多少のミスは力ずくでボールを奪い返して帳消しにできる」という場がスクラムです。

スクラムで有利な状況を作る

スクラムはただ単にボールを確保・奪取するだけではありません。押し合いの力関係次第ではその後のプレーの有利不利が変わってきます。

多くの場合、スクラムはマイボール側がこれからボールを出したい方向に少し回転させようとします。下の図を見てください。

左が通常のスクラム、そして右がやや回転させたスクラムです。赤のチームがこれから左にパスをして展開しようとしていると考えてください。

この時、スクラムを時計回りに少し回転させることでアタック側はスクラムハーフがパス先に体を向けやすくなり、パスが出しやすくなります。

ディフェンス側はパス先のサイドのフランカー(6、7番)がボールが出ると同時にディフェンスに走り出しますが、単純に距離が遠くなることはもちろん、相手の選手(この場合は赤の6番)が邪魔になってプレッシャーをかけにくくなりますし、相手の選手(同6番)が被ることでボールが出るタイミングを見極めにくくなります。

結果、アタック側はやりやすく、ディフェンス側はやりにくい状況が生まれ、この後のバックスの展開にまでスクラムでの優劣が影響するようになります。

もちろん回転で有利不利を作るだけでなく、ディフェンス側が押し込むことでアタック側が慌ててボールを出したり無理にパスをすることでミスをしたりいいアタックができなくなったりということもありますし、スクラムの優劣はボールの奪い合いだけではなく試合全体の形勢にも影響を与えます。

組み直しの基準

スクラムのシーンを見ていると反則にはならないまでも組み直しをしているシーンを見かけることがあるかと思います。中にはスクラムが崩れて「これ反則じゃないの?」と疑問に思うこともあるでしょう。

スクラムが組み直しとなるのは主に下記のような時です。

1つ目ですが、スクラムはボールを入れたタイミングでプレースタートです。プレーが始まる前に崩れたりやたらとグラついたりしている場合はレフェリーが笛を吹いてボールを入れるのを止め、組み直しをします。

2つ目ですが、スクラムはまっすぐ押し合うのが基本なので、回転して横方向に近い押し合いとなった場合は組み直しとなります。

「その場で」と書きましたが、どちらかが押し込んだ状態で回転した場合は押し負けた側の反則となります(そのままだと押し込まれるので意図的に回して横方向に押させようとしたという趣旨の反則)。

その場で大きく回転した場合は「どちらかが押し負けたわけではなく互いに同じ方向に回そうとして回りすぎちゃったね」ということで組み直しとなります。

3つ目、スクラムは足場に非常に大きな力がかかるため、芝が大きくめくり上がってしまうことがあります。結果足場が土となり、ズルズル滑って押し合いにならないというようなこともあります。

このような場合はレフェリーが笛を吹いてスクラムを止め、ポイントを少し横にずらして再度スクラムを組みます。

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