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アタックラインのオモテとウラ
バックスのサインプレー

ラグビーの攻撃には様々なサインプレーがありますが、今回はその中でも大きなくくりである「表」と「裏」についてお話しします。

この表と裏の概念を理解できるようになるとアタックラインを見たときに攻撃側がどのような選択肢を用意しているのかが大まかにわかるようになり、観戦がより楽しくなることでしょう。

アタックラインの表裏

次の画像は一般的なバックスラインの配置です。

バックスだけでラインを敷くときは基本的にセンターの2人が「表」、ウィングとフルバックが「裏」となります。

バックスの基本ラインの表裏

表というのはパスを出す人から比較的フラットな(後ろに下げない)パスを受ける人、裏は表の選手の後ろを走ってパスを受ける人のことです。

外側のウィング(14番)はスタンドオフから直接パスをもらうことは稀なので表とも裏とも言えません。

この場合はセンターの2人が表ですがポジションで必ず表裏の役割が決まっているわけではなく、流れの中で表にフォワードを立たせ、その裏でセンターの選手がパスを受けるというようなこともあります。

あくまでフラットにパスを受ける人とその後ろでパスを受ける人という形で区別します。

表裏は必ずあるわけではなく、人数が多くても1本のラインを敷く場合もあります。

まずは表と裏の2本のラインを敷くことがあるということ、そして以下でそれぞれの特徴を知りましょう。

オモテのサインは「縦に強く」

まずは表の動きですが、表のサインプレーの動きだけを見るとスタンドオフから1パス〜2パスで完結する非常にシンプルなものが多いです。

動きがわかりやすく、パスの距離も短く回数も少ないためミスが少ない、そしてミスの可能性が低いため勢いをつけてボールをもらうことができることができる。「シンプルで力強い」のが表のサインの特徴です。

そして勢いをつけて突撃することができるのでボールをもらう選手は縦方向に動くことが多いです。

表のサインは動きを読まれやすいが勢いよく突撃できる

動きのわかりやすさが特徴の表のサインですが、そのわかりやすさ故に相手のディフェンスも動きを読んで正面からタックルにきます。

そんなタックラーに真っ向勝負を挑むことになるため、表のサインはフィジカルに優れた両センターやフォワードを起用するのが基本です。

ウラのサインは「横に速く」

表のサインの後ろでパスを受ける裏のサインですが、先ほどの表のサインが「縦に強く」動くのに対して裏のサインは「横に速く」動きます。

なぜかというと表のサインが突進力に優れていることでそれを止めるディフェンダーも縦に強く動こうとし、結果としてその場に(横方向に動かないという意味で)足止めされるからです。

裏のサインでは足止めした相手の外側のスペースを狙うため、素早く人とボールをそのスペースに向かわせるため「横に速く」動きます。

広いスペースのウィング・フルバックは脅威

裏のサインではウィングやフルバックといった俊足・ステップ自慢の選手たちがボールをもらいます。

表のサインが内側で相手を足止めし、これらの選手が勢いよくボールをもらって広いスペースで勝負ができる状態になればかなりの確率でビッグゲインが期待できます。

表と裏は組み合わせることで輝く

この表と裏のサインプレーですが、表がなくて裏のサインだけということはありえないので基本的に表と裏を組み合わせて使うことになります。

そして表があることで裏が、裏があることで表が活きます。

突進力のある表のサインで相手を足止めするというお話はしましたが、裏のサインをチラつかせることで表のサインの突破力を上げる効果もあります。

通常裏のサインに対応するためには表を見ていたディフェンスの選手が相手が後ろにパスをしたのを見た瞬間に「自分がマークしていた選手はボールをもらわないな」と判断して急いで次の対応に切り替えます。

内側の足が止まれば外にチャンスが生まれる

このため選手によっては判断が早すぎてスタンドオフが投げる前に動き始め、それを見抜かれて突破されることもありますし、外にも対応しなきゃと前への突進力を緩めていたことで表を止めきれないというようなことも起こります。

このように表が裏を活かし、裏が表を活かすため、実際にはサインが出ていない場合でも余ったプレイヤーが別のサインの動きをすることで相手を釣ることもあります。

代表的な表と裏の複合サイン「カンペイ」

全国で広く使われている「カンペイ」というサインがあります。

これは2タテ(2セン=第二センター・13番のタテ=突進)と裏でフルバックがボールを受ける動きを組み合わせたものでスタンドオフではなく1セン(第一センター=12番)が起点となります。

カンペイ(菅平)の名で広く使われているサイン

上の画像のように2タテの動きとして2センがカットインで切れ込み相手の2センを足止めし、フルバックが外に流れながらボールを受けてウィングと一緒に外で勝負を仕掛けるサインです(11番はフルバックを内側からフォロー)。

もちろん状況を見て1センがフルバックではなく2センへのパスに切り替えることもあります。

このサインはラグビーの夏合宿の聖地・長野県の菅平(すがだいら)高原で合宿を行っていた早稲田大学が合宿の中で考案したもので、菅平を音読みにして「カンペイ」と呼ばれるようになりました。

今ではフルバックを使った代表的なサインとして全国の多くのチームで使われています。

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